ミュージシャン
小川コータさん、とまそんさん

ぼくたちの原点は大町なんです。

そう語るのは、鎌倉の風景をウクレレに載せて唄うデュオ、作曲家の小川コータさん(稲村ケ崎在住)と、ベーシスト兼プロデューサーのとまそんさん(材木座在住)のお二人。浜では、海の家の建築ラッシュ。金槌をたたく音が潮風にのって聞こえてくる6月最後の日曜の朝、彼らにお話を伺いました。

「6年前、鎌倉に越してきたとき、まわりに知人もいなく、夜な夜な鎌倉を散策していました。そんな時大町のダイニングバーで知り合ったのがとまそんでした」とコータさん。今は現存しないそのお店は、大きなダイニングテーブルが一つあるだけ。必然的に初対面であっても隣りどうしになります。二人にとって忘れもしないそのテーブルを囲んだ夜、小川コータ&とまそんの世界がはじまりました。コータさんは、「当時僕は鎌倉でライブをしようと計画していました。一緒にできる仲間をいろいろと探していたんですけれど、なかなか見つからなくて、まぁ弾き語りでもいいかなぁと思っていたんです。そんな時とまそんに出会い、いっしょにやろうよというオファーを彼は快く受け入れてくれたんです」

満月の夜にライブ

「それから僕たちの活動は始まりました。鎌倉のスペインバルで満月の夜におこなわれる満月美学というライブを1年間やりました。それが結構楽しかったんです。ライブではいろんな人がいて、鎌倉ってすごく面白いところなんだなぁと思ったんですね。でもせっかく鎌倉でライブをするのだったら、もっと鎌倉を知りたいし、いろんな人たちとも出会ってみたい。そろそろ1年たったのでこんな楽しいことをいろんなところでやってみたいなぁとおもって様々な場所でライブを始めたというのが、満月キャラバンのはじまりなんです」と、とまそんさんは語ります。コータさんは、「そうそう、そのころ鎌倉エフエムの番組「鎌倉オトスケッチ」のパーソナリティをやらないかというお誘いがあったんです。この番組のコンセプトは、鎌倉のいろんな場所に行ってそのシチュエーションにあった曲を歌うっていうものなんです。やり始めてわかったんですが、その場所の切り取った季節や時間はそれぞれ感じるものがあって、それを音で表現するのが僕たちの目指しているものなんだなぁと。満月キャラバンと鎌倉オトスケッチで鎌倉のいろんなところに行くことで今の僕たちの曲がうまれたんですよ」

僕らの想い

「いろいろな鎌倉の曲を作っていて思ったのは、曲にすると目に見えないものが形になるんですよね」と、とまそんさんは続けます。「メロディに言葉をのせて曲ができてくるとその時のその場所が、僕らの曲で残ってゆくと感じたんです。例えば曲に出てくるお店が無くなってしまっても、またその時目にした風景や知り合った人たちが曲の中に残っているんですね。それがとっても必要なんだなぁと感じたんです。街を歩いているといろんな人に声をかけられたり、何気なく立ち寄って買い物したときにおまけしてもらったりとか、日常の風景、それを曲に残してゆきたいですね。またそれを残してゆくには、誰もが口ずさめる曲でなければならないと思うんです。今回つくった大町の曲も同じ。みんなに愛されて口ずさんでもらえるようになったらいいなぁと思っています」

昨年大町まつりの富くじ大会では景品が当たったんですよと笑いながらとまそんさん。その時大町の人たちのあったかさをとっても感じたこの場所でぜひ歌ってみたいと思ったそうです。

大町と二人の気持ちが一緒になった今年、海風を感じる彼らの唄声を聞きに7月10日はぜひ八雲神社にお越しください。

2016年6月 取材
聞き手:澤渡俊仁

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