鎌倉祇園大町まつり実行委員長
山田勝久さん

「子供の頃に、大町四ツ角で四社の神輿を大勢の担ぎ手が、威勢よく合社させるのを見たんです。圧倒されましたね。それをもう一度実現したいというのが、当初の私の夢でした。それが叶った今、今度は鎌倉にあるすべての神輿をそれぞれの街から担ぎながら集結、八幡様(鶴岡八幡宮)で合社する『鎌倉大まつり』を実現させたい」そう切り出したのは、鎌倉祇園大町まつり実行委員長の山田さん。

山田さんは、古くから大町まつりの実行委員長として活躍されていたお父様の遺志を継ぎ、平成八年に実行委員長に就任されました。就任された当時は、担ぎ手不足に悩まされ、四社の神輿を上げることがままならず、なんとしてでも昔のように四社の神輿を上げたいという強い信念で臨んでいたとのこと。そしてそれから十数年、大町の皆さんのご協力で、今では百名を超える担ぎ手が、見事な神輿ぶりを披露してくれるようになり感無量だという。

山田さんが昔を振り返る。

幼少の頃、米屋の店先に積んであった米俵の上に陣取り、神輿ぶりを見ていた時のこと。いつの間にか米俵の上で寝てしまい、明け方目が覚めると、名越町のほうから朝靄の中を一社の神輿がゆらゆらとやってくるのが見えたそうだ。目を凝らしてみると、たった四人の担ぎ手が『明日はねえぞ!』と掛け声をかけながら下馬のほうに向かっていったのだと。びっくりしながらもそのあとをついて行くと、なんと鎌倉駅の駅舎の中に消えていってしまった。山田さんは今でもこの光景が目に焼き付いているのだそうだ。

神輿を下ろしたら、もうまつりが終わってしまう。
ならば肩の許すまで。腹いっぱいになるまで神輿を担いでまつりを愉しむ。
これが大町の心意気だと。

困ったときには力を貸してくれる。そんな人情溢れる大町と大町の人々をこよなく愛する山田さん。

「僕はまつりが好きで好きでたまらない。生涯まつりバカで居たいんですよ」そんな実行委員長が手掛ける大町まつり。皆さんでおもいっきり愉しみませんか?

2013年6月 取材
聞き手:澤渡俊仁

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