鎌倉大町八雲みこし会 会長
松岡繁友さん

大町八雲みこし会を率いる長である松岡さんは、大町に構える大正八年創業の松岡表具店を営む表具師。鎌倉国宝館をはじめ鎌倉有数の寺院など、鎌倉の文化財の修繕にも携わり、今や少なくなった鎌倉が誇る職人のひとり。

十八歳の時に初めて大町の神輿に肩を入れ四十数年。神輿の担ぎ手がいなく神輿が上がらない苦しい時代もあったその有様を見続けながら、大町の神輿と共に歩んでこられました。今では、百名を超える担ぎ手が集まる大町まつり。四社が威勢よく上がる様を見るたびに感極まるものが込みあがるという。

そして、松岡さんはゆっくりと続ける。

大町八雲みこし会の会長職に就いて今年で二期四年。大勢が揃いの半纏をまといその四社の神輿が大町四ツ角でもまれているのを見て思う。そろそろ後継者に想いを託す時期が近づいてきたなと。

人はお互いに支えあって「人」になり、またお互いに支えることでしっかりと地に根付くもの。大町には、支えてくれる人がたくさんいるので、安心して次期会長に想いを託すことができるという。

松岡流は、やりたいことがいつでもできる環境づくり。その環境をつくるためには全身全霊で盾になるといいます。いつも若い世代たちの声に耳を傾け、優しい心持で見守ってくれているそんなお方。

最後に松岡さんは「大町も年々都会化してきて、若い世帯が増えてきた。昔ながらの向こう三軒両隣の顔がわかる、そしていつも気軽に挨拶を交わせる街。そんな居心地の良い街であり続けること。我々みこし会が大町の皆さんの輪をつなぐひとつの絆になることを願ってやみません」

2013年5月 取材
聞き手:澤渡俊仁

PageTop